住み慣れた家に住み続けながら資金を得られる手段として、リースバックというものがあります。
とくに近年は、戸建てに加えて中古マンションでのリースバックを検討するケースも多く見られます。
ただし、マンション特有の制限や戸建てとの違いを理解せずに進めると、トラブルの原因になる可能性も。
この記事では、中古マンションにおけるリースバックの可否や戸建てとの違い、実施時の注意点を解説します。
中古マンションの売却にリースバックは利用できるのか
住み慣れた中古マンションを売却しながら同じ部屋に住み続けたい場合、リースバックは有力な選択肢です。
戸建て中心のイメージがありますが、マンションでも条件次第で利用できます。
以下では、その可否や注意点を具体的に解説します。
中古マンションでもリースバックは可能な場合がある
戸建て向けの印象が強いリースバックですが、中古マンションでも管理規約や立地などの条件を満たせば利用可能です。
これは所有物件を売却し、買主と賃貸借契約を結んでそのまま住み続ける仕組みで、生活を変えずに資金化できる点が魅力です。
老後資金確保や相続対策として活用される例が増えており、特に首都圏の人気エリアでは買い手も集まりやすく、成立しやすい傾向があります。
ただし、全ての物件で承認されるわけではなく、耐震性や専有面積が一定基準を下回る場合は対象外となることもあります。
資産価値が著しく低い場合は買い取り価格も下がるため、事前に概算見積もりを取得しておくと安心です。
リースバック査定では市場価格に加え賃料設定も考慮される
査定では売却価格だけでなく、買主が得られる賃料利回りが重視されます。
築年数や設備、周辺相場を踏まえて賃料が決まるため、家賃が相場より高くなることも珍しくありません。
賃料は通常、売却価格の6〜10%程度の年間利回りを目安に設定されます。
利回りが高いほど買い取り価格に影響するため、希望価格と賃料のバランス調整が必要です。
固定資産税評価額や登記簿上の面積など、公的データを根拠に示すと、査定の透明性が高まり交渉が有利に進みます。
「売却益」と「支払賃料」を比較し、長期的なキャッシュフローを試算してから契約しましょう。
管理規約などにより利用できないケースもあるため事前確認が必要
マンションごとの管理規約や使用細則が、賃貸利用を制限している場合、理事会の承認が得られなければリースバックはできません。
加えて、管理状態の悪さや修繕積立金不足が指摘される物件は投資リスクとみなされ、買い手が付きにくくなります。
管理組合総会で反対意見が多いと承認までに時間がかかるケースも想定されます。
また、長期修繕計画が適切に策定されていない物件は、将来的な追加負担リスクが評価を下げる要因となるでしょう。
契約を検討する前に規約を確認し、必要なら管理組合へ相談しましょう。
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中古マンションと一戸建てのリースバックの違い
売却後も住み続けたい場合、マンションでもリースバックを選べますが、戸建てとは評価の観点が異なります。
マンションは共有部分や管理体制が価格に強く影響するため、査定方法も変わるのです。
以下では、その主な違いを説明します。
マンションでは現地調査で共有部分の状態も確認される
査定時には室内だけでなくエントランスなど共有部分の清潔さや管理体制も詳しく調査されます。
買主は共有部分の修繕履歴を確認し、将来追加費用が発生しないかを重視します。
管理組合の議事録や滞納状況が不透明だと投資リスクと判断されやすいため、事前に記録を整備し管理状態を改善しておくことが重要です。
組合が積立金を計画的に積み立てているかも審査項目に含まれます。
良好な管理が確認できれば、買い手の信頼を得やすくなるでしょう。
築年数によって評価額に大きな差が出やすい
マンションの査定では築年数が大きな指標で、旧耐震基準の築古物件は慎重に評価されます。
ただし、維持管理が行き届き、耐震補強や大規模修繕が済んでいれば、築20年以上でも価値を保ちやすくなります。
戸建てと異なり土地が共有資産のため、建物の老朽化が直接価格に響く点には注意が必要です。
駅から遠い物件でも周辺に再開発計画がある場合は評価が高まることがあります。
エリアの将来性まで見据えた説明資料を準備しておくと交渉がスムーズです。
買主が外国籍投資家の場合は、為替リスクを考慮した賃料設定を求められるケースもあります。
調査報告書を添付すれば、築古でも安全性を示すことができます。
管理費や修繕積立金が毎月必要となる点も異なる
管理費や修繕積立金は原則として所有者負担ですが、賃料に転嫁される場合があるので契約時に明細を確認しましょう。
戸建ては共益費が不要なため、マンションでは毎月の総支出が増える点を踏まえ、生活費のシミュレーションが欠かせません。
管理費は年々上昇する傾向もあるため、長期的な負担を比較したシミュレーションを行いましょう。
とくに、共有設備多い物件は管理費が増えやすい傾向があるため、注意が必要です。
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中古マンションをリースバックで売却する際の注意点
売却後も住み慣れた部屋にとどまれるリースバックは便利ですが、マンションならではの制約があります。
ここでは、中古マンションで利用する際に確認すべきポイントを整理します。
管理組合の規約によって制限がある場合がある
まず管理規約を確認し、賃貸利用に理事会承認や届出が必要かどうかを把握しましょう。
承認が得られなければ売却後に居住できない恐れがあります。
賃貸事業者としての届け出が必要な自治体もあるため、自治体ルールも併せて確認するとより良いでしょう。
加えて、管理規約改定の予定があれば将来の条件変更リスクも把握しておくと安心です。
ペット飼育や楽器演奏など使用細則の制限も、賃借人になると厳格に適用されるため、生活スタイルへの影響を確認しておくことが大切です。
立地条件によりリースバックの可否や条件が左右される
立地の良さは投資価値に直結し、駅近や生活利便施設が充実した地域ほどリースバックが成立しやすくなります。
反対に空室率が高いエリアでは賃貸収入の見込みが低く、条件が厳しくなる場合があります。
自治体の都市計画や人口動態の変化も、長期的な賃貸需要を左右するポイントです。
将来のインフラ整備計画や新線開通情報なども長期的な入居需要を支える材料になります。
将来的な買取や退去条件も契約前に明確にしておくことが重要
リースバックは賃貸契約である以上、定期借家契約や買主の転売予定などにより退去要請を受ける可能性があります。
契約期間、買取オプション、退去通知の条件を事前に確認し、必要なら交渉しておきましょう。
早期退去が想定される場合は次の住まい探しを前提に引越し費用を積み立てておくと負担を軽減できます。
将来的に物件を買い戻す特約を設けることで、住み続ける選択肢を確保できる場合もあります。
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まとめ
中古マンションでもリースバックの利用は可能ですが、管理規約や使用細則に制限がある場合があるため注意が必要です。
一戸建てと異なり、共用部分の管理状況や修繕積立金の負担など、マンション特有の要素も把握しておく必要があります。
管理費・修繕積立金の法的負担者は所有者である点や、賃料への転嫁方法も併せて確認しましょう。
リースバックを活用する際は、管理組合のルールや立地条件などを事前に確認し、安心して住み続けられる環境を整えましょう。

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